ブログ2019.03.10

日本フットサル三国志 第1章フットサルの原点 その12 日本のフットサルの人口は?ウォーキングサッカーへの道

木暮知彦

その12 日本のフットサル人口は? ウォーキングサッカーへの道


エンジョイF

 日本のフットサル人口は昔から取り沙汰されていた。それは、昔はフットサルがニュー・スポーツだったからである。例えば、公益財団法人日本生産性本部が発行する「レジャー白書」の2008年版ではニュー・スポーツのジャンルで280万人のプレーヤー人口と紹介された。実をいうと、もはや相当認知されていながら未だにニュー・スポーツのジャンルに留まるのだが、2011年は370万人と最高を記録、しかし、2015年には150万人と下降気味となっている。ここでいうフットサル人口とは「する」スポーツで、しかも「年1回でもしたことがある」という設問の統計である。

 そのもっと前の記録というと、原田理人(現日本フットサル連盟副会長、元フットサル日本代表監督)が2003年2月発売の「月間レジャー産業」という雑誌に「活性化するフットサルマーケットの動向」で推計を試みている。民間の大会開催数から割り出したものであるが、これによれば5万6千人という控え目な数字になっている。(推計は難しいという注釈がある。)
 2003年にサッカー協会が個人登録制度を開始したが、この時の登録数が約10万人である。それが、2004年10月22日付けのスポーツ報知では、信憑性はともかく競技人口70万人になっている。また、2004年のサッカーダイジェストでは100万人という記事もある。たしかに、前回報告したフットサル施設の数で見ると、2001年に136施設あったものが、2004年には451施設と増加、3年間で3.3倍となっている。(日本フットサル施設連盟調べ)から、フットサル人口が急増したことは間違いない。
 では、最近はどうなのだろうか。実をいうと、最近は人口が話題になることが少なくなってきた。珍しいスポーツではなくなったこともあるし、定着してきたということもあるだろう。一方、施設の方、メディアの方からするとだいぶ人口が減って来ているという危機感を抱いている。そこで、筆者自身が推計を試みてみた。

 まず、そもそもフットサル人口とはいっても年1回程度の「する」なのか、ビジネスとして成立するレベルの回数の「する」なのか目的によって推計の方法は異なる。そこで、筆者の場合は民間のフットサル施設に着目、多くのフットサル施設は会員制を採用しているので、その会員数に着目した。会員の場合、年1回ではなく、月に1回程度は行うだろうという前提である。
 フットサル施設数をサッカー協会のエンジョイフットサルの施設検索から全国500施設と設定した。1施設あたりの会員チーム数を100チームと設定、1チームのメンバーを平均8名とすると、チーム活動の人口は合計約40万人と推計される。一方、個人参加の1施設あたり年間活動者数を500人と設定すると個人活動の人口は25万人、合計65万人と推計される。これに、ビジターを20%程度とみて1.2倍すると合計約78万人と推計する。(個人参加のプログラムを持たない施設もあると思われるがここでは問わない。)
 かなり乱暴な推計ではあるが、レジャー白書の年1回レベル150万人の推計を考えると、月1回レベルの人口78万人の数字は大きく間違ってはいないのではないだろうか。

 次にこの数字がどんな意味を持つのかサッカーとの比較、位置付けで考えてみる。レジャー白書2017によれば、サッカー人口は480万人、うち10代が40%、20代が12%、30代が8%、40代が7%となっている(男性のみの比率)。これを見ると、あきらかにサッカー人口は小中高生に支えられていることがわかる。人口でいうと10代が約211万人、20代が約57万人、30代が38万人である。

 一方、フットサルの筆者の推計が月1回レベルで約78万人、大半が20代、30代と考えると年1回レベルのサッカーの20代、30代の合計が95万人なので、20代、30代で見るとサッカーとフットサル人口は大きくは変わらないのである。逆に言えば、小中高生でサッカーをやっていた人口の受け皿がフットサルと言えなくもない。さらに言えば、現在、20代、30代のフットサル人口は、30代、40代と移っていくわけであるから、フットサル界としては、サッカー10代の新規参入を図り、20代、30代の人口の継続に努力すれば、少なくとも「する」人口はサッカーを上回る計算になる。ましてや超高齢化社会である。

 このように考えると、小中高生年代のフットサルへの移入策とフットサルの20代、30代の継続策、さらにはサッカー経験中高年世代のカムバック策が極めて重要な施策となるに違いない。

 ではその施策とは何か。

 小中高生年代のフットサルへの移入策としては、昔から学生割引が定番であったが、最近では大学リーグや大学生向けあるいは高校生向けフットサル大会などが盛んに行われるようになってきた。また、子供世代ではサッカースクールではなく、フットサルスクールと銘打つスクールも増えてきている。
 フットサル20代、30代の継続策では、個人参加型フットサルに依存するところが大きく、チーム活動ができなくなったメンバーが個人参加型フットサルで継続している。

 課題はサッカー経験中高年世代のカムバック策であろうか。オーバー40の大会やオーバー40個サルが見受けられるが大きな流れになっているとは言い難い。先ほどのレジャー白書2017によればサッカー人口の40代、50代の比率は7%、5%なので合計で約57万人いることになる。
 彼らがフットサルに転向もしくは潜在的にフットサルをやってみたいと思う人口を取り込めたら大きな力になるであろう。そのためには、健康というキーワードで人を集めることと、フットサルでは体力的に厳しいため、もっと緩めのフットサルにする必要があろう。

 実際、最近ではウォーキングサッカーが流行り始め、一般社団法人日本ウォーキングサッカー協会や日本サッカー協会内グラスルーツのパートナーとして日本ウォーキングフットボール連盟という組織も出来ている。イギリスが発祥の地らしく、おおむねルールは以下のとおりである。

①ボールに関与する、しないに関わらず走ってはいけない。
(足が地面から離れると反則、常に片足が地面についている状態)(速歩は可)
②ボディコンタクト(チャージ)等は禁止
③アウトボールは、キックイン、又はアンダースロー
④コートサイズ、ゴールサイズはフットサルコートを基本にする
⑤8人制を基本に行いますが、状況に応じて変化させてよい
⑥ 1.8メートル以上の高さに蹴りあげた場合は反則
⑦ペナルティ・エリア内にはフィールドプレーヤーは原則進入禁止
⑧GKはエリア外に出られない
⑨試合時間は7分ハーフ(前後半)
⑩試合使用球はローバウンドの4号球(フットサルボール)

 このルールによれば、フットサル施設の多目的利用として研究に値するのではないだろうか。

 フットサル人口の話から最後はウォーキングサッカーの話になってしまったが、第1章の最後に元日本フットサル連盟副会長で長年に渡って日本のフットサル普及に尽力した栄隆男のフットサルの原点を語る言葉を紹介して終えよう。

 「ゲームにおいては個人技術の高さはもちろん、チームのインテリジェンスが最も問われるスポーツである。遊びの自由性とチームインテリジェンスの規律性が一体となったとき、このスポーツの醍醐味が知的興奮となって観る者をも魅了する。(中略) ところで、文化という以上は日常的にそして老若男女誰でも親しめるものでなければならない。そして同時に、もっとも高い人間の知的、精神的働きに表現され、実現されたものでなければならない。フットサルはまさにその両面を兼ね備えたスポーツであり・・・」(サッカー百科大辞典 大修館書店より)

 さて、写真はというとこの3月で活動終了となるサッカー協会のJ-FUTSAL(エンジョイフットサル)トップページとしよう。もはや閲覧できなくなるので、記念に残しておきたいためである。

 いよいよ次回から第2章 あのチームはどうなった篇です。第1回に登場するチームはどこでしょうか。お楽しみに。  

木暮知彦

木暮知彦

みんサル運営会社のピープルスポーツ株式会社社長。1999年の第1回の関東フットサルリーグ、伝説のスーパーリーグの立ち上げなどに関わった。自らはFIRE FOXの代表として、リーグ優勝、フットサル選手権の優勝を経験した。元フットサル日本代表木暮 賢一郎の父親でもある。

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