ブログ2019.02.01

日本フットサル三国志/第1章 フットサルの原点/その3  翻弄されるミニサッカー

木暮知彦

その3 翻弄されるミニサッカー

サロンフットボール

 フットサルの語源がフットボール+サロン=部屋、室内ということは多くの人が知っている。実際には、1930年ウルグアイで初めてルール化され、ブラジルなどの南米に広がったフチボル・デ・サロン、スペインではフットボールサラ(サロンの意味)と言われていた。(サロンフットボールという名称はその1でも述べたが、当時の札幌大学の柴田勗(つとむ)教授が日本人に馴染みやすくと命名したもの)
 フットサルのもう1つの源流としてサッカー発祥のイギリスではインドアサッカーと呼ばれていたという。いずれにしても「室内」がキーワードで最終的にはその両者のルールが統合されて1994年、FIFA管轄のもとフットサルとなったのだ。なんとこの間、60年以上の時間を要している。
 一方、ミニサッカーという言葉もよく聞きことがある。日本でも昔はフットサルをミニサッカーと呼んでいた。サッカーチームがフットサル大会に出場した時などあのチームはミニサッカースタイルなどと揶揄する使い方もあった。いずれにしても、室内というキーワードはない。
ということでミニサッカーについて少し調べてみた。小学館のデジタル大辞典によれば、「1チーム3~7人で行う小規模のサッカー。五人制はフットサルとして世界統一ルールがある。」と定義されている。
 また、前述柴田教授の「フットサル源流紀行」(フットサルマガジンピヴォ第12号より掲載)によれば、1977年に日本サッカー協会の下部組織として日本ミニサッカー連盟が設立されたという。今のフットサル連盟の前身である。フットサル連盟と改名となった理由は、後に述べるがサロンフットボールが正式にはFIFAによりフットサルと定義されたからである。サロンフットボール協会という名称ではなく、ミニサッカー協会とした理由は定かでないが、日本サッカー協会管轄だからであろう。実際にミニサッカーという名称が使われたのは、その前の研究段階として、モントリオール五輪の選手強化と少年サッカーの普及を考えて、「毎日杯争奪第1回ミニ・サッカー招待大会」が開催されたがその大会名称に使われている。1973年のことである。
  いずれにしても、サッカー協会管轄の連盟になったことで、ミニサッカーは急速にルールやがボールの規定などの環境が整備される。そして、1979年に第1回全国小学生総合ミニサッカー大会が開催された。これは5人制の室内サッカー(サロンフットボール)、6人制の屋外サッカー(ガーデンフットボール)、8人制のミニサッカーという3種類のサッカーを扱う大会だったいう(「最新サッカー大辞典」日本サッカー協会)。1979年というと奇しくも木暮賢一郎、小宮山友祐、小野大輔、豊島明など日本代表経験のフットサル黄金世代が生まれた年でもある。
 実際、国際的にも拡大しはじめたサロンフットボールの主導権を巡って、国際サロンフットボール連盟 (FIFUSA) と国際サッカー連盟 (FIFA) の間で対立が起き、ルールの統一はなかなか進まなかった。FIFAは、1988年に独自に「ファイブアサイドフットボール」のルールを作り、1989年にはオランダで世界ファイブアサイドフットボール選手権を開催する。この大会には、日本サッカーリーグ(JSL)の本田技研を中心に構成されたチームで参加した。現在、日本サッカー協会フットサル委員会委員長の北澤豪がメンバーにいたことは有名な話となっている。
 しかし、この間、サロンフットボールの世界選手権も同時に行われていて、2年後の1991年には世界サロンフットボール選手権の第4回大会がミラノで行われている。しかもここにも日本代表は出場している。それは日本サロンフットボール協会が派遣したもので、実をいうと前述した国際紛争から距離をとるために日本ミニサッカー協会がサロンフットボールを組織から切り離し、いずれ問題が解決した際には再度合体するという合意の上で、1988年6月に日本サロンフットボール協会を独立させたのであった。では、前述した3つのカテゴリーの少年大会はその後どうなったのであろうか。それは次回のお楽しみに。

 さて、今回の写真はサッカー、フットサルライターの草分け的存在の菊池芳樹提供のサロンフットボールそのものにしよう。現在、菊池はサッカー雑誌「ストライカーDX」の編集長を務めているが、若いころはフットサルプレーヤーでもあり、チーム「古(いにしえ)」というエンジョイチームで活躍していた。また、サロンフットボールも経験しており、このボールはどこかの大会の優勝賞品でもらったものだという、当時は賞品にもなるくらい浸透していたということであろうか。
 なお、サイズは、フットサルショップ「ボアスコンプラス」のサイトにフットサルとサロンフットボールの違いが出ている。(直径、周囲、重さ)
 < フットサル 4号球(大人用)>
  20cm  62~64cm 400~440g
 <サロンフットボール(屋内サッカー用)>
  16.5cm  50~55cm 400~500g
 <ガーデンフットボール(ローバウンドボール)>
  19cm 50~55cm 350~400g


 これをみてもわかるとおり、サロンフットボールは、フットサルよりもだいぶ小回りで、重い。その分、ボールの扱いを重視するように出来ていて、柴田教授に言わせると「蹴る」のではなく「操作する」を重視、さらに言わせると「フットサルはサッカーの芸術工房」と言わしめる原点にはボールの大きさも影響しているということである。(フットサル源流紀行より)。
 ちなみに、ミニサッカーボールの開発は柴田によれば、1980年にモルテンと共同開発チームが発足、サロンフットボールの屋外タイプとしてガーデンフットボール、幼児レベルの普及に役立つソフトボール型なども開発されたという。

 なお、比較に引用したフットサルショップサイト「ボアスコンプランス」は、スタジオコンチーゴ株式会社が運営しており、社長の森田卓志は、関東リーグの「アルティスタ埼玉」でプレーしていた選手で、埼玉県選抜にも選ばれた名手である。

<追加の写真>
 「ミニサッカーのいろいろ」という本が当時のミニサッカー連盟から刊行されている。これを入手したので、追加することにした。 遊戯社から昭和57年3月15日初版とあるので、1982年、前述したミニサッカー大会開催の3年後である。ガーデンフットボール、サロンフットボール、ソフトサッカー、インドアサッカーなどの概要、ルールが掲載されている貴重な本である。


ミニサッカー

木暮知彦

みんサル運営会社のピープルスポーツ株式会社社長。1999年の第1回の関東フットサルリーグ、伝説のスーパーリーグの立ち上げなどに関わった。自らはFIRE FOXの代表として、リーグ優勝、フットサル選手権の優勝を経験した。元フットサル日本代表木暮 賢一郎の父親でもある。

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