『伝説のゴレイロ』の再来か?スペインに現れた新星ミケル・フェイシャとは?[ピヴォ×みんサル]

コラム|2019.09.26

『伝説のゴレイロ』の再来か?スペインに現れた新星ミケル・フェイシャとは?[ピヴォ×みんサル]

スペイン1部のサンタ・コロマでプレイするミケル・フェイシャは、『伝説のゴレイロ』であるルイス・アマドの後継者となりえるのか、動画を交えて検証します。[ピヴォ×みんサル]からの転載記事

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サンタ・コロマのゴレイロ、ミケル・フェイシャ。世界で最も偉大な選手のひとり、ルイス・アマドの後を継ぐ者になるだろうか。


フットボールとフットサルの違いが大きく出るポジション


11人制フットボール同様に唯一、手でボールを扱えるポジジョンは、フットサルにおいても重要だ。いやフットボールと比較にならないくらい試合の命運を握る大切なポジションだ。フットボールの2018年ロシア・ワールドカップ決勝でフランスのシュート数は8本(枠内6)、クロアチアは15本(枠内3)だった。フットサルの2016年コロンビ・ワールドカップ決勝におけるアルゼンチンのシュート数は53本(枠内13)、ロシアは50本(枠内16)だった。この数字がゴールキーパーとゴレイロの違いを如実に示している。

ゴレイロは、肉体的にも精神的にもチームの支柱である。すばらしいゴレイロがいれば、同僚は安心して攻撃を仕掛けられ、ディフェンス時に余計な不安にかられることはない。そのセーブが、同僚に安心感を与え、勝利への希望をつなぎ、チームに信頼をもたらす。シュートをいくら打っても決められなければ、対戦相手は焦り、疑念を持ち始める。さらには、完璧なシュートを打たなければという強迫観念に苛まれることさえある。スコアボードを0から1にどのプレーヤーもすることができるが、0にできる選手はゴレイロしかいない。


ゴレイロ大国スペインのレジェンド達


ブラジルと共にこのスポーツをけん引するスペインは、ゴレイロ大国だ。ブラジルが得点力が高いピヴォや1対1ではがせるアラを生むように、スペインでは信じられないセーブで決定機を防いでしまうゴレイロが生産されており、同国の栄光の歴史には必ずその名を刻むゴールの番人がいた。

初めてスペインが世界王者となった2000年のワールドカップでは、ゴールマウスにいたヘスス・クラベリアが、勝因のひとつだった。「第2ペナルティーマークよりも遠い位置からのシュートは打たせていい」と同僚に告げたゴレイロは、コートでほぼ有言実行した。

連覇を達成した2004年ワールドカップでは4年前の大会で負傷のため、コートに立てなかったが第1ゴレイロだったルイス・アマドが君臨した。“事実上の決勝”だった準決勝ブラジル戦で、PK戦の末、チームを勝利に導いた。「世界最高のゴレイロではなく、世界最高の選手」と評されるルイス・アマドは偉大だった。1996年に20歳でスペイン1部にデビューし、その後はセゴビア、インテルで活躍。スペイン代表として179試合出場し、獲得したタイトル数はクラブと代表で実に50と全てを勝ち取った。2007年欧州選手権決勝前日、3年前のワールドカップ決勝でもスペインと対戦していたイタリア代表キャプテン、ナンド・グラナは「問題はルイス・アマドだ。みんな完璧なシュートじゃないと入らないと思うから、力んでしまうんだ」と話すほどだった。ライバルが畏怖の念を抱いていた。


リーグMVPフォラオを決定機を7度ストップ


そんな伝説のゴレイロの引退から3年、ルイス・アマドと比較され始めているゴレイロがいる。昨シーズンからサンタ・コロマでプレーするミケル・フェイシャだ。U-18、U-21のスペイン代表経験があり、2016-2017シーズンはスペイン2部を制覇したバルセロナBの守護神だった。ユースでも3度スペイン王者になるなど下部組織を過ごしたバルセロナで全てのタイトルを勝ち取っている。

恵まれた身体と抜群の反射神経だけでなく、優れた洞察力で決定機を防ぐ。スローイングも速く性格で、利き足の左でのフィードも優れている。誰もが「決まった」と確信するシュートもセーブする。そのスケールの大きさ、存在感は、ルイス・アマドを思い起こさせる。

新シーズン開幕前に行われたカタルーニャカップ決勝で、サンタ・コロマはバルセロナと対戦した。昨シーズン王者であり、古巣であるバルセロナの猛攻をミケル・フェイシャは好セーブで封じていた。昨季のリーグMVPのフォラオのシュートなど少なくとも7度の決定機をセーブした。4-3とサンタ・コロマが点の奪い合いを制したが、称えられるべきは得点を決めたアタッカーではなく、失点を何度も防いだゴレイロだということを会場の誰もが理解していた。

22歳のゴレイロは、今シーズン1部で2年目を迎える。スペインは優秀なゴレイロが多いが、その中でもミケル・フェイシャは特別な光を放っている。昨シーズンのちょっとした予感を手にしていた人は、今季は大きな確信へと変わるだろう。ついにルイス・アマドに匹敵する新たな絶対的な守護神が現れた、と。

動画:ミケル・フェイシャが活躍したカタルーニャカップ決勝サンタ・コロマ対バルセロナ戦ハイライト


動画:世界最高のゴレイロ、ルイス・アマドの引退記念動画


座間健司(ざま・けんじ)

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1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして『フットサルマガジンピヴォ!』の編集を務め、卒業後、そのまま『フットサルマガジンピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。2011年”フットサルマガジンピヴォ!”休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター、フォトグラファーとして活動を始める。FIFAフットサルワールドカップ4大会、UEFAフットサル選手権5大会を現地取材。

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