甘利斗亜の『ヒールリフト』はゴールを奪うための技術。成功させるための秘訣とは[ピヴォ×みんサル]

戦術・テクニック|2019.07.04

甘利斗亜の『ヒールリフト』はゴールを奪うための技術。成功させるための秘訣とは[ピヴォ×みんサル]

全日本U-18フットサル選手権・関東大会決勝で活躍したフウガドールすみだファルコンズの甘利斗亜選手が、魅せ技ではない実戦で使える『ヒールリフト』について語ってもらいました。[ピヴォ×みんサル]からの転載記事

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全日本U-18フットサル選手権・関東大会決勝、フウガドールすみだファルコンズの甘利斗亜は、ペスカドーラ町田のトップチームにも登録されている甲斐稜人と対峙。その時、ボールは宙を舞った。関東大会を制し全国大会への切符を手にした甘利が、魅せ技ではない実戦で使える『ヒールリフト』について語った。

左利きの将来性のあるピヴォ

昨シーズン、フウガドールすみだはクラブ史上2人目となるブラジル人選手のピヴォであるFPガリンシャをチームに加入させた。FPボラに続く外国籍選手であり、ブラジルから呼び寄せた選手は初めてである。

ガリンシャの獲得が決まった際、須賀雄大監督は「下部組織にも左利きの将来性のあるピヴォの選手がいます。彼らの参考になることはもちろん、アラの選手たちにとっても、左利きのピヴォのプレーや使い方が参考になればいい」と話していた。

この時、具体的な選手名は出てこなかったが、現在フウガドールすみだファルコンズに所属する甘利斗亜は、その「左利きの将来性のあるピヴォ」の一人だろう。昨年まで度重なる負傷に苦しめられたが、それがなかったらすでにFリーグの舞台にデビューしていた可能性もある逸材だ。昨年開催された第5回全日本U-18フットサル選手権の決勝では、帝京長岡高に5点を奪われる苦しい展開のなか、独力で1点を返している。

全国大会準優勝に終わった昨年大会を経て、3年となった甘利は高校年代で日本一となるラストチャンスにかけている。甘利の所属するすみだファルコンズは、ZOTT WASEDA FUTSAL CLUB U-18やペスカドーラ町田U-18との激戦を制し、東京都大会のタイトルを獲得。さらに関東大会の決勝では再び町田U-18と対戦し、甘利の先制点となるPKもあって3-2で勝利し、関東2連覇を達成した。

『静止する』ヒールリフト

体格も良く、フィジカル能力に優れる甘利は、まさに「レフティー・モンスター」と呼ぶにふさわしい存在だ。その甘利が得意としているプレーの一つに、左サイドでのヒールリフトからのシュートがある。

決勝の大舞台でも、甘利はこの得意技を仕掛けた。その相手は、すでにペスカドーラ町田でトップチーム登録され、Fリーグデビューも果たしているFP甲斐稜人。この時は甲斐に阻まれる形でシュートを打つことはできなかったが、この世代を代表するライバルを相手に果敢に挑んでいった。

参考動画はこちらをクリック!
(参考動画、2017年に甘利が公式戦で見せたヒールリフトからのシュート)


いわゆる「ヒールリフト」と呼ばれるプレーには2種類ある。一つはボールを少し浮かしてから、かかとで蹴り上げてボールを前に飛ばす方法。もう一つは、ボールを両足で挟んで背後から前方に浮かせる方法だ。甘利が得意とするヒールリフトは、後者のものとなる。

「僕がやっているヒールリフトは、挟んで持ち上げるような形ですね。今回は失敗してしまいましたが、相手との間合いやボールを置く位置で決まってくると思います。もう一つは、自分が好きなサイドで、ヒールリフトの後にシュートを打てる位置にボールを持っていけるように考えてやっています」

通常、左利きのアタッカーは、右サイドでのプレーを好む。右サイドでボールを持った時、中に切り込んだら、そのまま左足でシュートを放つことができるからだ。だが、この場面や参考動画を見てもわかるように、甘利は左サイドでこの大技を仕掛けている。このサイドでの狙いは「縦突破」だ。

「(左サイドで)縦突破ができれば、相手とボールの間に体を入れることができます。体で相手をブロックしたまま、左足でシュートを打つ。小さい頃からヒールリフトをやっていましたが、常にシュートまで行けるように、自分の武器にできるようにと考えて取り組んできました」

こうしたプレーは、相手を小バカにしていると、批判を浴びることもある。だが、甘利のヒールリフトは縦に仕掛けるための選択肢であり、ゴールを奪うための純粋な技術だ。

ボールを狙い通りに浮かせられるまでには、「とにかくヒールリフト、ヒールリフトと練習をした」という甘利に、実戦で成功させるためのポイントを解説してもらった。そのポイントは、「静止する」ことだという。

「相手と対峙した時にボールが静止すると、相手も足を出してくるんです。そのタイミングを見て、ゆっくりになって相手が足を出した時にタイミング良く、ボールを浮かせることがポイントです」

相手がボールを奪いにくれば、その重心は前にかかる。そのタイミングで相手の後方にボールを飛ばすことで、相手の裏を取ることができるのだ。

3年連続で全国大会出場を決めたすみだファルコンズ。関東王者として臨む今大会でも、彼らは間違いなく優勝候補の一角だ。そのチームを最前線から引っ張る甘利が、ボールを持った時は油断大敵だ。特に“左サイド”でボールを持った時は、目に焼き付けておきたい大技が飛び出すかもしれない。

河合拓(かわい・たく)

2002年に当時、国内唯一のフットサル専門誌Pivo!の編集部に入りフットサルに魅力せられる。その後、2006年のサッカー・ドイツW杯を前に週刊サッカーマガジン編集部に入り、セレッソ大阪、ガンバ大阪、横浜FCなどを担当。2011年から2014年まではゲキサカ編集部で活動。2015年からはフリーランスとなり、2016年に「FutsalX」を立ち上げ、フットサルを中心に取材しながら、サッカー日本代表も取材する。U-18フットサル選手権は第1回大会からすべての大会の取材を続けている。

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